「企業型確定拠出年金に加入しているけれど、iDeCoもできる?」
「iDeCoと企業型DCを併用すると、老後資金をもっと増やせる?」
「企業型DCとiDeCoはどちらを優先すればいい?」
会社員の方から、このようなご相談をいただくことがあります。
結論からいうと、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している方でも、一定の条件を満たせばiDeCo(個人型確定拠出年金)を併用できます。
ただし、勤務先の企業年金制度や掛金の状況によって、iDeCoに加入できるか、いくらまで掛金を拠出できるかが変わります。
この記事では、FPの視点から「iDeCoと企業型DCは併用できるのか」「併用するメリット・注意点」「2026年12月からの制度改正」まで詳しく解説します。
iDeCoと企業型DCは併用できる?
まず結論として、企業型DCの加入者でも、一定の条件を満たせばiDeCoに加入できます。
以前は、企業型DCの規約でiDeCoへの加入を認めることが必要でしたが、2022年10月の制度改正によって、企業型DC加入者がiDeCoへ加入する際の規約要件は原則として撤廃されました。
現在は、企業型DCの加入者であっても、一定の条件を満たせばiDeCoを利用できます。
ただし、企業型DCでマッチング拠出を利用している場合など、iDeCoに加入できないケースがあります。
出典:iDeCo公式サイト
企業型DCとiDeCoの違い
そもそも、企業型DCとiDeCoはどのような制度なのでしょうか。
企業型DCとは?
企業型確定拠出年金は、会社が掛金を拠出し、従業員自身が運用商品を選択する企業年金制度です。
会社から拠出された掛金を、投資信託や定期預金など、勤務先が用意した商品の中から選んで運用します。
つまり、
会社が掛金を拠出 → 従業員が運用する
という仕組みです。
iDeCoとは?
iDeCoは「個人型確定拠出年金」のことで、自分自身で掛金を拠出し、自分で運用商品を選択します。
つまり、
自分で掛金を拠出 → 自分で運用する
という仕組みです。
どちらも老後資金を準備する制度ですが、掛金を誰が負担するのかが大きな違いです。
iDeCoと企業型DCを併用するメリット
では、企業型DCとiDeCoを併用するメリットには何があるのでしょうか。
①老後資金をさらに準備できる
企業型DCの会社拠出だけでは老後資金が不足する可能性がある場合、iDeCoを併用することで、自分自身でも追加の老後資金を準備できます。
例えば、
「会社から毎月2万円の企業型DC掛金」
+
「自分で毎月1万円のiDeCo」
というように、複数の制度を活用することができます。
もちろん、実際に拠出できる金額には上限があります。
②iDeCoの掛金が所得控除になる
iDeCoの大きなメリットの一つが、掛金の所得控除です。
iDeCoの掛金は原則として「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、所得税や住民税の軽減につながる可能性があります。
企業型DCの会社拠出とは異なり、自分で拠出したiDeCoの掛金について所得控除を受けられることは、iDeCoを利用する大きなメリットです。
ただし、所得税・住民税が課税されていない場合などは、このメリットを十分に受けられないことがあります。
③運用益を非課税で再投資できる
企業型DCもiDeCoも、運用期間中の運用益について税制上の優遇があります。
通常、投資信託などの運用で得られた利益には課税されますが、確定拠出年金制度では運用益に対する課税が繰り延べられます。
長期間運用する老後資金だからこそ、税制優遇を活用しながら資産形成できる点は大きなメリットです。
企業型DCとiDeCoを併用するときの注意点
メリットがある一方、注意すべきポイントもあります。
マッチング拠出を利用している場合は要注意
企業型DCには、会社が拠出する掛金に加えて、従業員自身が掛金を上乗せする「マッチング拠出」という制度があります。
現在、企業型DCでマッチング拠出を利用している場合は、原則としてiDeCoとの同時加入ができません。
そのため、
「企業型DCのマッチング拠出を続けるのか」
「マッチング拠出をやめてiDeCoを利用するのか」
を比較する必要があります。
なお、2026年4月からはマッチング拠出について、加入者掛金が事業主掛金を超えてはならないという制限が撤廃されています。
企業型DC加入者にとって、マッチング拠出の使い勝手が改善されています。
iDeCoの掛金はいくらまで?
iDeCoには掛金の上限があります。
特に会社員の場合は、
企業型DCに加入しているか
確定給付企業年金(DB)などにも加入しているか
企業型DCの事業主掛金はいくらか
などによって、iDeCoへ拠出できる金額が変わります。
そのため、会社員の方が「iDeCoは毎月2万円まで」と一律に考えるのは危険です。
勤務先の企業年金制度を確認したうえで、自分のiDeCo拠出可能額を確認する必要があります。
2026年12月から拠出限度額が大きく変わる
iDeCoと企業型DCの併用を考えるうえで、2026年12月1日から予定されている制度改正は非常に重要です。
厚生労働省によると、第2号被保険者について、企業年金とiDeCoを合わせた拠出限度額が月額6.2万円に引き上げられる予定です。
企業型DCに加入している場合も、この6.2万円の範囲内で企業型DCの事業主掛金などを考慮して、iDeCoの拠出可能額が決まります。
例えば、企業型DCの事業主掛金が月額3万円だからといって、iDeCoを必ず月額3.2万円拠出できるとは限りません。
勤務先の企業年金制度や他制度掛金相当額などを確認する必要があります。
企業型DCとiDeCo、どちらを優先する?
「企業型DCとiDeCo、どちらを優先すればいい?」という疑問も多いでしょう。
FPとしては、まず会社から拠出される企業型DCを確認することをおすすめします。
会社が掛金を負担してくれる企業型DCは、会社員にとって非常に重要な福利厚生の一つです。
そのうえで、さらに老後資金を準備したい場合に、
企業型DC+iDeCo
という組み合わせを検討するとよいでしょう。
ただし、iDeCoには原則として60歳まで引き出せないという制約があります。
住宅購入、教育費、生活防衛資金など、60歳より前に使う可能性があるお金までiDeCoに回しすぎないことが大切です。
NISAとの併用もおすすめ
老後資金を考える場合、企業型DCとiDeCoだけでなく、NISAも含めて資産形成を考えることが重要です。
NISAは運用益が非課税になる一方、iDeCoとは異なり、必要なときに売却して資金を使いやすい制度です。
例えば、
企業型DC・iDeCo
→ 老後まで使わないお金
NISA
→ 老後資金+将来使う可能性があるお金
預貯金
→ 近い将来使うお金・生活防衛資金
というように、目的別に分けると分かりやすくなります。
NISAは2024年から新制度となり、年間投資枠は最大360万円、非課税保有限度額は1,800万円となっています。
出典:金融庁「NISAを知る」
企業型DCとiDeCoを併用する前に確認したい5項目
企業型DC加入者がiDeCoを検討するときは、次の項目を確認しましょう。
1.企業型DCの掛金はいくらか
まず会社が毎月いくら拠出しているのか確認します。
2.マッチング拠出を利用しているか
マッチング拠出を利用している場合、iDeCoとの関係を確認する必要があります。
3.確定給付企業年金(DB)があるか
DBなど他の企業年金制度がある場合、iDeCoの拠出限度額に影響します。
4.現在の運用商品は適切か
企業型DCは、加入しているだけで資産形成が完了するわけではありません。
現在どの商品を何%保有しているのか確認しましょう。
5.60歳まで使わないお金なのか
iDeCoは老後資金として利用する制度です。
住宅購入や教育費など、近い将来使うお金までiDeCoに回さないことが大切です。
愛宕FP相談では企業型DC・iDeCo・NISAをまとめて相談できます
企業型DCとiDeCoの併用は、制度上可能なケースが増えていますが、「併用できる=併用したほうが必ずいい」というわけではありません。
家計の状況によっては、iDeCoよりもNISAを優先したほうが使いやすい場合もあります。
愛宕FP相談では、
- 企業型DCの運用状況
- iDeCoの加入・掛金
- NISAの投資額
- 住宅ローン
- 教育費
- 保険
- 老後資金
などをまとめて考え、「いつ使うお金なのか」という視点から資産形成を整理することを大切にしています。
「企業型DCに加入しているけれど、iDeCoもやったほうがいい?」と迷っている方は、まず現在の企業年金制度と家計を整理してみましょう。
まとめ
iDeCoと企業型確定拠出年金は、一定の条件を満たせば併用できます。
企業型DCは会社が掛金を拠出するのが基本で、iDeCoは自分で掛金を拠出する制度です。iDeCoには掛金の所得控除などの税制メリットがあるため、企業型DCに上乗せして老後資金を準備したい方にとって有力な選択肢となります。
一方で、マッチング拠出を利用している場合などはiDeCoと併用できないケースがあるため注意が必要です。
また、2026年12月にはiDeCo・企業年金の拠出限度額が改正される予定です。
企業型DC、iDeCo、NISAは、それぞれメリットや使える時期が異なります。「どの制度が一番得か」ではなく、「自分の目的にどの制度を使うか」という視点で考えることが、無理のない資産形成につながります😊
愛宕FP相談では、ライフプランニング・保険・証券(NISA)等のご相談を承っております。
福岡でも、保険・証券を同時に取り扱うことができる会社はまだまだ少ないので、総合的に相談に乗ってほしい方も是非ご相談ください。

